夏の味
なにわの野菜
【毛馬胡瓜】けまきゅうり
淡緑の白っぽい肌に黒いイボ、色よりも味、やわらかさよりも歯切れの良さが売り文句の毛馬胡瓜です。胡瓜もみは最高、縦に細く割った半干しや、ぬか漬けも美味です。
【大阪しろ菜】おおさかしろな
他の葉物とほぼ同じですが、ゆでた葉の部分をすりつぶして胡麻や味噌、砂糖で味をつけた緑色の和え地で茎の白い部分を和えると、夏らしい和え物が出来ます。
【大阪長茄子】おおさかながなす
糠漬け、新生姜や紫蘇とともにもみ漬け、油で素揚げにして天ぷら出汁や、揚げだしでいただきます。包丁で縦に切り目を入れ油を塗って強火で焼き、皮をむいたら、出汁と醤油を半々に合わせた割り醤油でいただくのも美味です。
【泉州水茄子】せんしゅうみずなす
最も好まれるのは糠漬け、もみ漬け、サラダと生食向きです。
【鳥飼茄子】とりかいなす
干し蝦を出汁に煮込む、油で揚げて煮る、オイル焼き、、等々、田楽や千両茄子とほぼ同じ食べ方ですが、肉質がしかっりしていて味にコクがあります。
【赤茄子】あかなす
赤なすびまたは蕃茄とも呼ばれていますが、つまりトマトのことです。 和風の料理法が少なく、やはりサラダが良いでしょうか。
【越瓜】しろうり
富田地区は大阪の酒どころであったために、酒粕漬けにした「富田漬」の名で世に出たようです。家庭でも、漬物商でも糠漬けが喜ばれましたが、干し瓜にも人気があり、少し淡黄色く熟れたものは煮物に葛餡かけにと重宝されました。
【赤芋茎】あかずいき
赤紫でアクもあるので皮をむいたら水にさらして鷹の爪を入れてゆでて再びさらして、味噌汁に、揚げ豆腐との煮物に、淡い味をつけて辛子酢味噌でいただく時には、ゆで蛸の薄切りやさらし鯨などに添えると絶品です。
【羽曳野無花果】はびきのいちじく
無花果は本来果物ですが、完熟の少し前の甘味の淡い時季などは、トマトと同様に野菜として扱うと一手変わった味わい方ができます。たとえば薄く皮をむいて赤ワインと砂糖で煮る、など。
なにわの魚介
【トビアラ】とびあら
トビアラは猿蝦の大阪呼称です。
むき身にしてかき揚げ天ぷらも良いですが、殻がやわらかいのでそのまま唐揚げにするとポリポリと香ばしく美味です。
【蝦蛄】しゃこ
塩ゆでにして食べるのが一般的ですが、三杯酢に生姜汁を入れた生姜酢や辛子酢味噌で、時には殻のままで煮付けにもします。
【鰯】いわし
新鮮なものは手開きにして刺身や饅に、塩と酢でしめて握りずしに、むろん塩焼きや煮付けにもします。小さいものは尾頭を取って酒、醤油で煮染める辛煮や、酢を入れて煮る酢煮きの「煮鱠」などなど、五月から八月にかけての夏の味です。
【鱸】すずき
主に「洗い」にして柳蓼をすり入れた酢味噌、梅肉醤油が美味です。塩焼き、バター焼き、潮汁はすこぶる美味なものです。
【穴子】あなご
関東では背開き、関西は腹開きにしますが、素人には難しいので開いたものを求めた方が無難です。その際、内臓や骨も持ち帰ります。内臓は甘辛く煮るか味醂醤油をつけて焼き、骨は素揚げにして骨せんべいに。煮付けや天ぷらにするなら皮面を上に板の上に置いて熱湯をかけるとぬめりが白く浮き上がるのでタワシで洗い落とし、水分を拭き取ってから調理します。
【鰈】かれい
どの鰈も刺身、煮付け、焼き、唐揚げと万能ですが、目板は特に「唐揚げ」、真子鰈は「刺身、塩焼き」、石鰈は「焼き物、唐揚げ」と言えます。
【鱧】はも
まずは「鱧ちり」と称する湯引き造りで、添えるたれは料亭では梅肉が主流です。
「鱧てり」と呼ぶ照焼きも美味です。料亭では塩焼きや胡麻塩焼き、玉子とじ、天ぷらなどがあります。
【鱶】ふか
水洗いした後熱湯をかけて皮のザラザラをこそげ落とし、「銭切り」と呼ぶ輪切りにしてから湯引きをし、辛子酢味噌で食べるのが一般的で、「煮凝り」にもします。
【赤エイ】あかえい
味噌汁にするにはぶつ切りを酒と水と昆布を入れて煮込み、白味噌に田舎味噌を少し混ぜて溶き入れてさらに煮込み、笹がき牛蒡などを入れ、粉山椒を振っていただきます。
【ギンタ】
ギンタとはいわゆる柊魚のことです。
小さいけれど煮付けにすると骨ばなれがよくて美味です。干物、唐揚げ、南蛮漬けも絶品です。
引用:なにわ大阪食べものがたり より
参考:すしの辞典 ふるさとの家庭料理 より