冬の味

なにわの野菜

【田辺大根】たなべだいこん

皮下には独特の辛味があり、生で大根おろしに最適ですが、湯豆腐に入れて「雪鍋」や「風呂吹き大根」に、おでんの種、鰤大根の煮付け、大根飯、様々に楽しめます。

【難波葱】なんばねぎ

この「難波葱」の種子をもとに太く一本作りにしたのが京都の九条葱との説もあります。

【千早山薯】ちはややまいも

この山芋をおろしたネバリは自然薯よりはやわらかいものの、つくね芋よりは硬く香りが高いので、つみれ状にして表面だけ「素揚げ」にし、甘味をおさえた天つゆで食べると美味です。

【吹田慈姑】すいたくわい

慈姑は全体にえぐみがあるので、皮をむいて鷹の爪を入れて茹でて調理すると、そのえぐみがなくなります。水にさらして出汁に酒、淡口醤油、味醂を加えて煮含めると美味です。

【河内蓮根】かわちれんこん

堀りたてを天ぷらにするなら、縦割りにすると歯ざわりが良く野趣があって美味なものです。先端の短くてやわらかい部分は輪切りにして軽く熱湯に通す程度にゆでて塩を振り置き、甘酢漬けに。鶏肉や蒟蒻などと煮込む時は包丁を使わず、皮をむいてすりこぎなどで叩き割ると味がしみやすくなります。

【金時人参】きんときにんじん

金時人参は料理の中で主役をつとめることは少ないですが、紅一点、脇役、引き立て役としてなくてはならない存在です。

【菊菜】きくな

冬期の鍋料理には欠かせない青野菜です。胡麻和え、白和えなどもいいですが、鍋物のほかに鴨や鶏などの煮物と合わせても真価を発揮するし、短く切って百合根や小柱などとかき揚げ天ぷらにしても香りが引き立ちます。

【水菜】みずな

鯨との吸い鍋もハリハリ鍋と言うほどに歯ごたえ良く仕上げますが、合鴨や鶏肉と合わせて煮、葛餡を引いておろし山葵を添えてと、抜群の脇役ぶりです。
三角 なにわの魚介

【鯔】ぼら

「洗い」、一塩して生干しで「焼き物」、笹がき牛蒡も入れた「味噌汁」など。腹中にはヘソ、またはソロバンと呼ぶ肉の玉があり、これは塩焼き、照焼きが美味です。
卵は日本三大珍味の「カラスミ」になるので、その意味でもたいした出世魚と言えます。

【鰆】さわら

刺身にして美味ですが、淡塩をあててしばらく置いて皮に焼き目をつけた刺身は特によろしく、塩焼き、照焼き、味噌漬けにしても絶品です。

【赤舌】あかした

赤舌とは赤舌鮃のこと。
煮付けにして冷やし、煮凝りにすると絶品。塩をあてて干すと身が締まっていいし、洋風にはムニエルがよく、身がやわらかいので五枚におろしてごく淡塩をして水分を取ると刺身にもけっこう美味です。

【鮃】ひらめ

刺身や昆布じめに向いていて、特に活魚の身は薄造りにいいですが、薄造りは河豚のようにシコシコとした歯ごたえが身上だから、必ず活魚の身でないといけません。刺身の場合は鮃を活けじめにしてから硬直に入るころのわずかの時間が美味で、これを過ぎると水っぽくなってしまいます。
この場合、ごく淡い塩をして浮いてくる水分を取ってから刺身にすると、さらに味が濃くなります。

【眼張・笠子】まばる・かさご

食べ方はだいたい同じですが、特に煮付けがポピュラーな食べ方で、生姜や梅干しを入れて煮ると美味です。

【菱蟹】ひしがに

ワタリガニ科に属するガザミが標準和名です。
塩水のまだ冷たいうちから茹でて、包丁も箸も使わず手でバリバリと割って、その足やハサミを使って身を取り出して食べるのが当地流です。内子の塩漬けは特に「蟹雲丹」と呼ばれて美味です。

【車蝦】くるまえび

天ぷら、すし種、大きいのは塩焼き、フライ、マヨネーズ和えなど用途はたくさんです。

【河豚】ふぐ

ご存じ「てっさ」と呼ぶ薄造りの河豚刺しに、水炊きの「てっちり」。いずれもポン酢醤油が決め手となります。唐揚げ、塩焼き、湯引きなども美味です。「菜種が咲いたら河豚食うな」の諺どおり晩秋から早春の味です。

【飯蛸】いいだこ

出汁に淡口醤油、酒、味醂で味を付けてまず頭を煮、火が通る頃に足をサッと煮、七分煮でザルに引き上げて急冷し、煮汁が冷めたら浸して味を含めます。辛子酢味噌や、生姜汁を入れた三杯酢で食べるのもよし、天ぷらにしても美味です。

【チヌ】

もともとチヌ=黒鯛ではありません。大阪湾の古名を茅渟の海といって、この海で黒鯛が多く獲れました。つまり「茅渟の海の黒鯛」が略されて「茅渟鯛」となり、「茅渟」というだけで黒鯛を指すようになったわけです。刺身、ちり鍋、塩焼き、あら煮きと、真鯛とほぼ食べ方は同じです。

引用:なにわ大阪食べものがたり より
参考:すしの辞典 ふるさとの家庭料理 より