新鮮・採れたて情報 2023.7

パリで講演、握りずし披露 がんばってます

北支部 北新地大喜
組合情報化・広報委員長にも就任

今回お話しを伺ったのは、北新地大喜の井上幸司さん。井上さんは高校卒業後、ワーキングホリデーでカナダのすし屋で働いた経験があり、英語にも慣れ、外国人の好みも知っていることから、ぐるなび親会社の役員から声がかかり、マルタでまぐろ畜養の輸入促進イベントに参加したのをきっかけに、ミラノで食の万博サテライトイベント、そして今回はパリと、3度目の海外イベントに参加した。
政府の外郭団体「日本養殖魚類輸出推進協会」が、日本の養殖魚を世界市場に広めることを目的にしたイベントで、井上さんと養殖魚を輸出する商社らが参加した。魚は、真空パックされた3枚おろしのぶりとホタテ等を使用。ちなみに日本では天然物が喜ばれるが、ヨーロッパは天然物より養殖物が使われているそうだ。
1日目は料理菓子専門学校のル・コルドン・ブルーで生徒に講演とすしの実演。「おすし屋さんの1日」をテーマに、市場での仕入れから、魚の選び方、お客さんを迎えるまでの話と、すしの握り方を説明。パリでは、家で魚を食べることがないので、マルシェで魚を扱う店も少ない。日本の市場では様々な魚が売られていることや、産地の違いも知らない。むしろ、なぜ業者から安定供給される養殖魚を買わないのか、毎朝市場に行く意味があるのか、調理もされていない魚をなぜ買うのかという質問があったそうだ。
2日目はアトリエでぶりしゃぶと握りずしの実演。ぶりしゃぶは、ポン酢、ポン酢とトマトと白味噌、醤油と出汁を入れた和風ポルチーニの3種類のソースを用意。海外では想定外のことが多く、時間通りに集合しない、イベント以外では放置され、行きはアラスカ経由で15時間、帰りは14時間半の弾丸スケジュールで、観光はおろか、エッフェル塔と凱旋門を車中から見たくらい。「海外イベントは、毎回大変」と井上さん。

井上さんはカナダのすし店で1年ほど働き、帰国後は福岡、東京銀座のきよ田や麻布十番のまつ勘で修業後、大阪に戻り数ヶ月経った頃、当時の北新地店の店長が急死。急遽、店長としてお店の業務を引き継ぐことになった。それが25年前、26歳のこと。10年前には店の権利を買い取り、オーナーとして独立した。長く通ってくれるお客さんが混乱しないよう、屋号も大喜北新地店から、「北新地大喜」と改めた。
井上さんは「大阪に戻った頃、父とやり方の違いでよく衝突していました。米、酢、醤油全て違います。自分でやってきたものがおいしいと思っているから。同じ店の風でありながら、別の店です」と。
お店は現在コース料理のみ(11,000円・飲物別)。1日8人くらいまでで、20年以上、務めているパートさんが対応する。コース料理は、つまみは焼き物を含めた8品、茶碗蒸し、すし10貫。すしは日によって変わるが、白身、トロ、コハダ、甘えび、いか、ウニ、青物。今の時期ならアジ、穴子、カニなど。これからの季節は、鱧の焼き物や、時季によってはホタルイカ、冬場なら締めて炙ったサバなども。酒器も色々あり、8割以上が、お客さんが持ち込んだもので、様々な形の酒器で飲むお酒も、料理に華を添えている。
井上さんは今期から組合理事に。そして情報化委員会・広報委員会の委員長にも就任した。組合の情報発信に並々ならぬ意欲を燃やしており、井上理事の今後にも注目したい。
【北新地大喜】大阪市北区堂島1・2・32トヨタビル2階、TEL06-6347-7758。
営業時間:午後5時〜11時。日・祝日、第一土曜日休み。

ちょっとブレイク

すしなにわのグルメライターオヤジのけいちゃんが、
大阪の食事情や地域、お店のお話など紹介します。
NEWSすしおおさか すし屋万歳コーナーよりと食の巷間談義・・・

  • 友人と「50年ぶりと違うか」と言いながら、天王寺動物園に行って来た。率直な感想だが、動物が少ない。ライオンはメスが一匹、ゴローっと寝てるだけ。ハイエナも一匹寝てた。入場料もタダだから、文句を言うなと言われそうだが。各地のテーマパークの方が、動物は格段多い。
    外人のお客さんがそこそこ目立つが、皆さん物足りなさそうだ。大変な仕事だと言う事は解るが、これだけの広大な広場で、予算も無ければ出来ない事だらけ、きっと。
    まあまあ、親方日の丸やから、開けてれば子供達でも来てくれる。儲けは考えなくても良い。だから工夫も進歩もない。課題は山積み。でも、どうもできない。
    我々の仕事も、思いと裏腹のジレンマの固まりだ。でも最後は、何とか成るのだろう。
  • 何でも値上がりだ。
    どうしても立ち行かない商材も出てくる。玉子の倍近い値に、店を閉めてるケーキ屋さんも有る。自然現象ならあきらめもつき、又その内安く成ると思える。それ以外なら、胸苦しい。
    世界中がバランス良く支え合っている。作り過ぎないように、足らない物を補い合って、この地球上を上手に耕せば、みんな生きていける。
    なんぼ一人だけ大金持ちに成っても、月や火星に移住は出来ぬ。世界はおもしろい。個性派だらけの国が多いから、お互い大切に尊重し合えば、まだまだ平和で楽しい地球上が作れるはず。
    我々もちっぽけすぎて何も出来ないけど、争い、けんか、戦いだけはせんとこ。せっかくのチャンスやから。
  • 和歌山の名物にも成っている釜揚げしらすも、手前の海だけでは足らず、四国沖まで舟を走らす。いわしの稚魚で、生まれたてを目の小さな網で獲りまくるのだが、この漁はあまり盛んにすると成魚が無くなる。年寄りに魚を食べさせる為と言うが、理屈に合っているのか。ちょっと無理が有る、みんな解っている。
    獲ってすぐのしらすを、塩水(2.5%位)の釜で茹で上げる。それをコンベアの上に並べて、両方に立つお母さん達が箸でゴミや他の魚の稚魚を取り除く。大変な作業だが、目の悪い婆さん達の仕事だ。
    道の駅などでは、雑多な(いか、たこの稚魚も混ざる)色々混ざったままのしらすを売っているが、値段が半値位で、こちらの方が良く売れている。食べる方の楽しみも残るからだ。
    漁師も辛抱、食べる方も辛抱。すべての食事情に意識して、食せねば成らぬ時がすでに来ている。